雑読家のしおり

本を読んでいる間だけは、無心で自分と向き合える時間。”読みたいを届けたい”をモットーに今日が少しだけ良いものになる、そんな言葉をお届けします。

【書評・感想】「薬指の標本」――偶然と運命を結ぶ”虚無”という視点

清涼飲料水工場に勤めていたわたしはある日、機械に指を挟み、薬指の先が欠けてしまう。わたしはこの事故をきっかけに工場を辞め標本室と出会う。標本室と言っても、研究のような複雑なことを行っているわけではない。この標本室の役割は標本を作り、保存す…

【書評・感想】「人質の朗読会」――役割から解放された"自分語り"

地球の裏側で、バスツアーの参加者7名と添乗員および現地運転手を含めた計9人が反政府ゲリラの襲撃を受けて拉致される事件が起こった。彼らが生きたまま解放されることは叶わなかったが、犯人の動向を探るために仕掛けられていた盗聴器は人質たちが催す朗読…

【書評・感想】「聖なるズー」――人間と動物の対等な関係性を問う

「動物性愛」は悪なのか?人間と動物の間に対等な関係を築くことはできないのだろうか?

【書評・感想】時代の分かれ目に読むべき圧巻のエンターテイメント!!――「革命前夜」須賀しのぶ

「革命前夜」文春文庫 須賀しのぶ/著 あらすじ 著者_須賀しのぶ 【書評・感想】天才たちの静かな戦い 印象的なフレーズ おわりに あらすじ 舞台は冷戦下の東ドイツ。日本の元号が昭和から平成に変わった日からベルリンの壁が崩壊するまでを描いた歴史エンタ…

【書評・感想】「線は、僕を描く」――不自由さに宿る凛とした自然 

「線は、僕を描く」講談社 砥上裕將/著 あらすじ 著者 【書評・感想】不自然さに宿る凛とした自然 印象的なフレーズ 終わりに あらすじ 交通事故で両親を失った僕は、心に空白を抱えたまま無為に学生生活を送っていた。ある日、友人からの頼みで展示会の設…

【あらすじ・感想】「老人と海」――人間の尊厳と老いへの屈服

「老い」「衰え」といった面にスポットを当てた感想を書かせていただきました。 ・船上での独り言 ・誇りのために釣り、生きるために殺す ・残骸への賞賛

【書評・感想】「ワイルドサイドをほっつき歩け」――

「ワイルドサイドをほっつき歩け」筑摩書房 ブレイディみかこ/著 はじめに こんな人におすすめ! 著者 印象的なフレーズ おわりに はじめに 「ぼくはイエローでホワイトでちょっとブルー」の著者でもあるブレイディみかこさんが労働者階級のおっさんたちの…

【書評・感想】「マインクラフト はじまりの島」――マイクラで学ぶ36の教訓

「マインクラフト はじまりの島」竹書房 マックス・ブルックス/著 北川由子/訳 はじめに 著者 概要 印象的なフレーズ おわりに はじめに マイクラ公式小説の1冊目。 7人の著名な作家が1作ずつマインクラフトの世界を書き下ろすという企画が進行中で、現在…

【書評・感想】「とにかく散歩いたしましょう」――犬は茄子を投げたくても、投げられない

「とにかく散歩いたしましょう」毎日新聞社 小川洋子/著 はじめに 著者 概要 印象的なフレーズ おわりに はじめに 本書は小川洋子さんが毎日新聞で連載していたエッセイを一冊にまとめたものです。 何気ない日常を色彩豊かに語り、日常をリアルな質感で伝え…

【感想】「コンビニ人間」はバッドエンドなのか?

「コンビニ人間」文春文庫 村田沙耶香/著 第155回(2016年)芥川賞を受賞した「コンビニ人間」 この作品のラストはハッピーエンドなのか、それともバッドエンドなのかTwitterを見ていても意見が分かれているような印象を受けます。 筆者へのインタビュー記…

【書評・感想】「ラスト・イニング」――ねえ、兄ちゃん、マウンドで投げ続けることって、楽しい?

「ラスト・イニング」角川文庫 あさのあつこ/著 はじめに 著者_あさのあつこ 概要 印象的なフレーズ おわりに はじめに 最&高。 本作は「バッテリー」の続編。番外編といった方が正しいかもしれません。 「バッテリー」本編では天才ピッチャー原田巧に焦点…

【書評・感想】「バッテリー」――おれは、嘘じゃなく野球が好きだったんだ

「バッテリー」角川文庫 あさのあつこ/著 バッテリーII アニメカバー版【電子書籍】[ あさの あつこ ] 楽天で購入 はじめに 著者_あさのあつこ 概要 印象的なフレーズ おわりに はじめに 全6巻のシリーズものなのでとっつきづらさがあったのですが、KindleU…

【書評・感想】猫を抱いて象と泳ぐ――ただ駒がルール通りに動いていないだけ

「猫を抱いて象と泳ぐ」文春文庫 小川洋子/著 【※この記事は、ネタバレを含みます】 目次 はじめに 著者 概要 印象的なフレーズ おわりに はじめに 将棋が趣味の私にはドストライクな小説でした。 「勝って当たり前の局面を本当の勝ちに持ってゆくのは想像…

【書評・感想】「世界は贈与でできている」――ボランティアはどのような場合に偽善と見なされるのか

『世界は贈与でできている 資本主義の「すきま」を埋める倫理学』ニューズピックス 近内悠太/著 目次 はじめに 著者 概要 印象的なフレーズ おわりに はじめに 本書の特筆すべき点は贈与を受け取る側の視点で「無償の愛」「正義」などの本質を説明している…

【書評・感想】「子どもの脳を傷つける親たち」――夫婦げんかはLINEの中で

「子どもの脳を傷つける親たち」NHK出版新書 友田明美/著 はじめに 著者 概要 印象的なフレーズ おわりに はじめに 普通に重めの内容でしたね。でも、ちゃんと向き合わないといけないお話。 「虐待」より広めの概念である「マルトリートメント」(不適切な…